建物の配管スペース部分やダストシュート部分を、
各階の床面積に入れる入れないの判断を最初に間違えると、
登記申請書や各階平面図など全て作り直しになってしまうことがあります。
配管スペースというのは、給排水管や電気配線、
ガス配管などの配管スペースのことで、
パイプスペース(図面上ではPS)とも呼ばれるスペースのことです。
配管スペースやダストシュート(筒状のごみ捨て装置)は、
2階建て以上の場合に吹き抜けになっていることが多く、
床が無いので、登記上、床面積に入れるのかどうか迷うことがあります。
しかし、配管スペースやダストシュートの床面積を、
登記上、各階の床面積に入れる入れないの判断基準が、
不動産登記事務取扱手続準則第82条で定められています。
不動産登記事務取扱手続準則第82条
引用元:wikisource「不動産登記事務取扱手続準則」
建物の床面積は,規則第115条に定めるところによるほか,次に掲げるところにより定めるものとする。
十 建物の内部に煙突又はダストシュートがある場合(その一部が外側に及んでいるものを含む。)には,その部分は各階の床面積に算入し,外側にあるときは算入しない。
このページでは、配管スペースやダストシュートが、
「建物の内側にある場合」と「一部が建物の外側にある場合」、
「建物の外側にある場合」に各階の床面積に入れるかどうかと、
それぞれの各階平面図について、登記専門の土地家屋調査士が解説致します。
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
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配管スペースやダストシュートが建物の内側にある場合
下図の□は建物の外壁で、
灰色部分が登記上の床面積に入れる部分です。
上図のように、配管スペースやダストシュートが、
建物の内側にある場合、
配管スペース部分やダストシュート部分は、各階の床面積に入れます。
【配管スペースなどが建物の内側にある場合の各階平面図の例】
【平屋建ての場合】
上図のように、配管スペースなどのことを、
各階平面図や建物図面に記載する必要ありません。
【1階から3階が同じ形状の場合】
上図のように、配管スペースのことを、
1階・2階・3階の各階平面図に記載する必要ありません。
【3階部分だけ建物の形状が異なる場合】
同じく、配管スペースのことを、
1階・2階・3階の各階平面図に記載する必要ありません。
ただ、2階や3階の形状が、1階の形状と異なる場合には、
1階の形状を点線で書いて、1階の位置を示す必要があります。
なぜなら、各階平面図で記載すべき内容は、縮尺、各階の別、
各階の平面の形状と各辺長、1階の位置、求積方法、床面積、
附属建物があるときは主である建物か附属建物かどうかと符号、
と不動産登記規則第83条で定められているからです。
また、建物図面に記載すべき内容も、
敷地の形状と建物1階の位置と形状、方位、縮尺、敷地の地番、
隣接地の地番、附属建物があれば主である建物又は附属建物の別と符号、と不動産登記規則第82条で定められています。
そのため、配管スペースやダストシュート部分については、
各階平面図にも建物図面にも、
その旨を記載する必要はありません。
配管スペースやダストシュートの一部が建物の外側にある場合
下図の□は建物の外壁で、
灰色部分が登記上の床面積に入れる部分です。
配管スペースやダストシュートの一部が建物の外側にある場合、配管スペース部分やダストシュート部分は、
各階の床面積に入れます。
【建物の内側と外側にまたがっている場合の各階平面図の例】
各階平面図及び建物図面上には、
建物の外側の配管スペース部分の形状と辺長の記載のみで、
その部分が配管スペースであることは記載する必要ありません。
配管スペースやダストシュートが建物の外側にある場合
下図の□は建物の外壁で、
灰色部分が登記上の床面積に入れる部分です。
配管スペースやダストシュートが建物の外側にある場合、
配管スペース部分やダストシュート部分は、各階の床面積に入れません。
【すべて建物の外側にある場合の各階平面図と建物図面の例】
まとめ
建物の内側に配管スペースやダストシュートがある場合と、
配管スペースなどの一部が外側に出ている場合には、
床の有り無しに関わらず、その部分は基本的に各階の床面積に入れます。
逆に、配管スペースやダストシュートが、
建物の外側にある場合には、各階の床面積には入れないということです。
後々困らないように各階平面図や建物図面を作成するためには、
まず最初に、どの部分が登記上の床面積に入って、
どの部分が登記上の床面積に入らないのかを正確に判断する必要があるのです。
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