この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

工事完了引渡証明書には、
建物の床面積を、各階ごとに記入しなければなりません。

ただ、登記申請の床面積と、
建築確認通知書に記載のある床面積に違いがあり、
どちらの床面積を記入するのか迷うことがあります。

なぜ、床面積に違いがでるのかと言えば、
登記申請時の床面積は、
不動産登記法から判断された床面積になります。

逆に、建築確認通知書に記載のある床面積は、
建築基準法から判断された床面積となり、
それぞれ判断基準が違っているからです。

たとえば、不動産登記法上の床面積では、
ベランダもバルコニーも、
床面積に入れてはいけないことになっています。

逆に、建築基準法上の床面積では、
ベランダやバルコニーも、
床面積に入れることになっています。

つまり、法律上の判断基準が違うため、
同じ部分の床面積でも、面積に入れる場合と、
面積に入れない場合があるのです。

そして、結論を言えば、
工事完了引渡証明書には、
登記申請と同じ床面積を記入する必要があります。

スポンサーリンク

そのため、工事完了引渡証明書の床面積は、
建築確認通知書に記載されている床面積を、
そのまま鵜呑みにして記入してはいけません。

なぜなら、工事完了引渡証明書は、
あくまで、登記申請のための添付書類です。

そして、工事完了引渡証明書は、
建物表題登記の申請に必要な、
建物の所有者の所有権証明書の1つです。

もし、工事完了引渡証明書の床面積と、
登記申請の床面積が少しでも違っていれば、
違っている部分の所有権を証明できなくなります。

そのため、工事完了引渡証明書の床面積は、
建築確認通知書の床面積ではなく、
登記申請の床面積と一致している必要があるのです。

また、工事完了引渡証明書は、
工事した業者が発行する書類になるため、
床面積なども、工事した業者が記入するのが本来です。

しかし、工事した業者が、
建築確認通知書に記載された床面積を、
そのまま工事完了引渡証明書に記入することもあります。

もしくは、工事した業者の署名と実印だけが押されていて、
床面積などその他の内容は白紙で、
工事完了引渡証明書をくれることもあります。

そのような場合には、登記申請の床面積を、
併記、または、記入しておくと、
間違いありません。

ちなみに、建築確認通知書には、
床面積とよく似た延べ床面積が書かれています。

ただ、延べ床面積は、
各階のすべての床面積を足した床面積のため、
登記申請の床面積とはまったく別物です。

いずれにしましても、登記申請の床面積は、
不動産登記法による基準によって、
床面積に入れる、入れないを判断するものです。

そして、工事完了引渡証明書は、
建物の表題登記の申請に必要な書類となります。

そのため、工事完了引渡証明書に、
床面積を記入する時には、
登記申請と同じ各階の床面積を記入すべきなのです。

スポンサーリンク