この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
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建物の工事完了引渡証明書(ひきわたししょうめいしょ)とは、
建物を新築工事した時や、増築工事した時に、
工事業者(大工さん)からいただく証明書のことです。

なぜ、引渡証明書をいただく必要があるのかと言えば、
まず、建物の建築工事している段階では、
その建物については、工事業者(大工さん)の所有物です。

そして、建物の工事が完了してから、
役所の検査等を受けたのち、
建物の工事依頼主に引き渡す、という流れになっているからです。

つまり、建物の建築工事をしている段階では、
その建物は、工事業者(大工さん)のものだからです。

そして、建築工事が完了してから、依頼主に引き渡すことになりますので、
その時の証明書として、工事完了引渡証明書、
略して、引渡証明書や大工の証明が必要になるのです。

この引渡証明書は、
建物の所有権を証明する書類の1つにもなります。

具体的に、この引渡証明書が必要になる場面としましては、
建物の新築時に行う建物表題登記の申請と、
建物の増築時に行う建物表題変更登記の申請の時です。

建物表題登記と、増築による建物表題変更登記の申請時には、
添付書類として、建物の所有権を証明する書面が必要になり、
引渡証明書が、それに該当することになります。

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ただ、工事完了引渡証明書については、
建物の所有権を証明する書面になりますが、
登記申請時に、かならず添付しなければならないというわけではありません。

なぜなら、建物表題登記も、増築による建物表題変更登記でも、
建物の所有権証明書として、最低2点、
法務局に提出を求められます。

所有権証明書については、引渡証明書以外にも、
建築確認通知書、建築確認検査済み証、
固定資産税証明書、成年者2名の証明書などがあります。

そして、その中から、2点を選択して、
建物の登記申請書類と一緒に法務局に提出すれば、
所有権証明書の不備などで特に問題になることはありません。

そのため、建築確認通知書や、検査済み証がある場合には、
引渡証明書は特に必要ない、ということになります。

逆に言えば、建築確認通知書や、
検査済み証が無い場合には、
引渡証明書があった方が良いということです。

なぜなら、建物を新築して間もない頃は、
建物の所有権証明書として、固定資産税の証明書は取得できないため、
それ以外の2点が必要になるからです。

もし、建築確認通知書と検査済み証があれば良いのですが、
どちらかが何らかの理由で用意できない場合には、
引渡証明書を用意する必要もでてきます。

成年者2名の証明書でも良いのですが、
証明書には、成年者2名の印鑑登録証明書も必要になりますので、
なかなか協力していただける人が見つからないこともあります。

ただ、工事完了引渡証明書を用意する時には、
工事業者が個人の場合、引渡証明書だけでなく、
その大工さんの印鑑登録証明も必要です。

もし、工事業者が法人の場合には、
引渡証明書の添付書類として、
法人の印鑑登録証明書や、会社の謄本なども場合によっては必要になります。

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