この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
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未登記建物を相続するには、
建物表題登記を申請する前に、
亡くなった人の戸籍や除籍の謄本類を集める必要があります。

なぜなら、未登記建物の建物表題登記を申請するには、
相続人の内、誰がその未登記建物を相続するのかが記載された、
遺産分割協議書が必要になるからです。

そして、遺産分割協議書を作成するためには、
その前提として、相続人全員を正確に特定する必要があり、
そのためにも、亡くなった人の戸籍や除籍の謄本類が必要というわけです。

ただ、謄本類については、
亡くなった人の戸籍や除籍の謄本類だけでなく、
相続人全員の戸籍の謄本類もすべて集める必要があります。

つまり、作業手順を明確にすると、
① 亡くなった人とその相続人全員の戸籍の謄本類を集める。

② 相続人全員で、未登記建物を相続する人を決める。

上記②の内容の遺産分割協議書を作成する。

④ 遺産分割協議書に、相続人全員の署名と押印をする。

⑤ 完成した遺産分割協議書と、戸籍の謄本類がそろえば、
建物表題登記の申請書類を作成する。

もし、①の謄本類がすべてそろった段階で、
その未登記建物を、誰が相続するのかまだ決まっていない場合には、
相続人全員で話し合って決める必要があるのです。

また、遺産分割協議書には、
相続人全員の署名と実印が押されて、
印鑑証明書も添付されている必要があります。

なお、⑤の建物表題登記の申請書類については、
元々の所有者が亡くなっている状態のため、
通常の建物表題登記の申請書類とは、かなり違ってきます。

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また、未登記建物の遺産分割協議書を作成する時点では、
建物の登記がされていないため、
その書き方にも注意が必要になります。

もし、登記がされている建物の相続の場合には、
その建物の登記簿謄本や登記事項要約書を取得して、
その内容を見て記載するのが通常です。

そして、その場合には、建物表題登記はされている状態なので、
あとは、亡くなった人から相続人の名義に変えるため、
相続登記と呼ばれる申請手続きを行うことになります。

その時の遺産分割協議書には、
建物の表題登記の情報をそのまま正確に記載して、
誰がその建物を相続するのか、を明確にすると良いわけです。

しかし、未登記建物の場合には、
そういった表題登記の情報がまったく無い建物のため、
遺産分割協議書への書き方も違ってくるのです。

そこで、未登記建物の遺産分割協議書への書き方は、
『○○県○○市○○町○○番地の地上未登記建物』
といった書き方をするのが、通例となっています。

つまり、その地番の上に建っている未登記建物、
ということで、その未登記建物を特定しているのです。

そして、その未登記建物については、相続人の誰某が取得する、
といった内容を、遺産分割協議書に記載して、
相続人全員が、署名と実印を押印し、
相続人全員分の印鑑証明書を添付すれば完成となります。

ただ、もし、相続人全員の話し合いがまとまらなければ、
遺産分割協議書を作成することができないため、
未登記建物の相続をすることが難しいと言えます。

なぜなら、未登記建物を相続する場合には、
通常の建物表題登記の申請書類に加えて、
上記の謄本類や遺産分割協議書もかならず必要になるからです。

そのため、通常の建物表題登記よりも時間がかかり、
作業的にも非常に困難な作業になることが多いのです。

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