吹抜け部分については、登記上、
上階の床面積には入らないのが基本です。
しかし、吹抜けの種類によっては、
上階の床面積に入る例外もあります。
そして、よくある吹抜けの種類としては次の4つがあります。
- 屋内にある吹抜け
- 屋内階段横の吹抜け
- 配管スペースやダストシュートの吹抜け
- ピロティの吹抜け
このページでは、上記4つそれぞれの吹抜け部分が、登記上、
1階の床面積および上階の床面積に入るのか入らないのかを、
不動産の表示登記専門の土地家屋調査士が、次の順番でご説明致します。
![](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/kannsyuusya.png)
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
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屋内にある吹抜けは床面積に入る?
![例1:屋内の吹抜け](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image118.jpg)
玄関口などでよく見かけるのが、上記例1のような吹抜け部分です。
例1のような屋内にある吹抜け部分は、登記上、
1階の床面積には入れますが、
上階(2階等)の床面積には入れません。
もし、2階建ての家で2階の天井まで吹抜けなら、
吹抜け部分は、1階の床面積には入れても、
2階の床面積には入れてはいけないということです。
図で表しますと次のようになります。
![](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image119.gif)
![](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image120.gif)
そして、3階建ての家で3階の天井まで吹抜けなら、
吹抜け部分は、1階の床面積には入れても、
2階や3階の床面積には入れてはいけないということです。
ただし、このページの下記で説明しておりますが、
配管スペースやダストシュートの吹抜けについては、
屋内の吹抜けであっても、各階の床面積に入れる場合があるので注意が必要です。
屋内階段横の吹抜けは床面積に入る?
屋内階段横の吹抜けとは、下記例2のような吹抜け部分のことです。
![例2:屋内階段横の吹抜け](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image115-1024x683.jpg)
例2のように、手すりタイプの階段の場合、
吹抜け部分も、階段部分も、1階の床面積には入れますが、
上階の床面積には入れません。
図で表しますと次のようになります。
![](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image117.gif)
![](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image118.gif)
しかし、下記例3のように天井まで達している壁(又はサッシュ)の場合、
壁等で囲まれている階段部分については、
1階の床面積だけでなく上階の床面積にも入れることになります。
![例3:壁で囲まれている階段部分](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image116-225x300.jpg)
ただ、吹抜け部分については、基本どおり、
1階の床面積には入れますが、
上階の床面積には入れません。
図で表しますと次のようになります。
吹抜け横の階段の手すりが、天井まで達している壁タイプだった場合
![](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image121.gif)
![](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image122.gif)
屋内階段横の吹抜け部分については、1階の床面積には入れますが、
上階の床面積には入れません。
配管スペースやダストシュートの吹抜けは床面積に入る?
吹抜け部分は、上階(2階や3階・・)に床がない部分なので、
1階の床面積には入れても、
上階の床面積には入れないというのが基本です。
しかし、配管スペースやダストシュートについては、
居室など他の部分と壁等によって区切られていれば、
床の有り無し関係なく各階の床面積に算入します。
配管スペースというのは、給水管や排水管、
ガス配管や電気配線管、
排気ダクトなどのパイプスペースのことです。
建築図面や間取り図などでは、
下記例4のように、PSと表示されている部分のことです。
![例4:配管スペース](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image113-1024x535.jpg)
1階部分だけの配管スペースの場合もあれば、
2階や3階まで空洞で吹抜けになっている配管スペースもあります。
そして、ダストシュートというのは、ごみなどを出す管のことで、
1階まで続いている筒状の管のことです。
配管スペースやダストシュートは、
建物の内側にある場合には、
2階や3階まで吹抜けであっても、各階の床面積に算入します。
各階の床面積に算入するということは、
その吹抜け部分も床があるものとして、
各階平面図を作成する必要があります。
ただし、配管スペースやダストシュートが、
建物の外側にある場合には、
各階の床面積には算入しません。
各階の床面積に算入しないということは、
その吹抜け部分は床がないものとして、
各階平面図を作成する必要があります。
不動産登記事務取扱手続準則第82条
引用元:wikisource「不動産登記事務取扱手続準則」
建物の床面積は,規則第115条に定めるところによるほか,次に掲げるところにより定めるものとする。
十 建物の内部に煙突又はダストシュートがある場合(その一部が外側に及んでいるものを含む。)には,その部分は各階の床面積に算入し,外側にあるときは算入しない。
なお、配管スペースやダストシュートの床面積についてくわしくは
「配管スペースやダストシュートの床面積」のページを参照下さい。
ピロティの吹抜けは床面積に入る?
ピロティとは、縦に抜ける吹抜けとは異なり、
下記例5のような横に吹抜けになっているスペースのことです。
![例5:ピロティ](https://tatemonohyoudaitouki.com/wp-content/uploads/2020/09/image112-1024x789.jpg)
通常は1階にあり、柱だけのスペースで、
ピロティについては、登記上、1階の床面積には入れません。
まとめ
吹抜けの種類 | 1階の床面積 | 上階の床面積 |
屋内にある吹抜け | 算入する | 算入しない |
屋内階段横の吹抜け | 算入する | 算入しない |
配管スペースや ダストシュートの吹抜け | 算入する | 建物の内側と外側にまたがっていれば算入、 建物の外側にあるなら算入しない |
ピロティの吹抜け | 算入しない | 算入しない |
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