この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
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工事完了引渡証明書は、
新築後の建物表題登記の申請や、
増築後の建物表題変更登記を申請する時に必要です。

工事完了引渡証明書は、
略して、「引渡証明」や、「大工の証明」とも、
呼ばれている書面のことです。

ただ、工事完了引渡証明書は、
かならず必要な書面なのかと言えば、
そうではありません。

工事完了引渡証明書が無くても、
建物表題登記も、建物表題変更登記も、
申請することは可能です。

しかし、建物表題登記の申請には、
その建物の所有権を証明する書面が、
少なくとも2点以上必要とされています。

そのため、工事完了引渡証明書を、
用意しない、または、用意できない場合には、
それに代わる書面が必要になります。

具体的には、

  • 建築確認通知書
  • 固定資産税の納税通知

の2点の書面が必要です。

逆に言えば、建築確認通知書と、
固定資産税の納税通知書があれば、
工事完了引渡証明書は必要ないということです。

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ただ、固定資産税の納税通知書を、
用意できない場合もあります。

たとえば、新築してから1,2年経っていれば、
固定資産税の納税通知書を用意できますが、
1年も経っていなければ用意できません。

固定資産税の納税通知書は、通常、
建物を建築した翌年の4月~5月頃に、
役所から送られてくる書面だからです。

そのため、新築して直後に、
建物表題登記を申請する場合には、
納税通知書は用意できないことが多いのです。

そして、その場合には、

  • 建築確認通知書
  • 成年者2名の証明書と印鑑証明書

以上の2点の書面でもかまわないことになっています。

成年者2名の証明書とは、
建物を建てたことを知っている同居人や、
建物に出入りのあった親族による証明書のことです。

つまり、成年者であれば、
誰でも良いというわけではありません。

そして、成年者2名の証明書には、
2名それぞれの署名と、実印を押して、
印鑑証明書を添付する必要があります。

また、建築確認通知書も、
工事完了引渡証明書も、
どちらも用意できないこともあります。

その場合には、

  • 固定資産税の納税通知書
  • 成年者2名の証明書と印鑑証明書

以上の2点の書面でも良いことになっています。

つまり、建物表題登記に必要な所有権証明書として、
上記のいずれかの組み合わせで、
2点あれば良いということです。

そのため、工事完了引渡証明書は、
建物表題登記にかならず必要な書面、
というわけではありません。

また、増築した場合も同じで、
増築部分に対する所有権証明書が、
上記のいずれかの組み合わせで必要になります。

ただ、全国にはたくさんの法務局があり、
所有権証明書についての判断が、
少し違っている可能性が少なからずあります。

基本的には、上記のとおりになるのですが、
建物表題登記を申請する法務局にも、
念のための確認をしておくことも必要です。

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