この記事の監修者

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。

経歴:開業以来23年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

建物表題登記に必要な各階平面図と建物図面を自分で書ければ、
「建物表題登記」で約10万円の節約は、8割方成功したも同然です。

せっかく定規やペンを揃えても、白紙のB4用紙を前にすると、
「どこから線を引けばいいのか…」と手が止まってしまう。
これが、自分で建物表題登記に挑戦する方の9割が直面する壁です。

しかし、安心してください。
各階平面図や建物図面は、決められたルールに従って、
決まった数値を書き込む作業に過ぎません。

この記事では、現役の土地家屋調査士である私が、
建物表題登記に必須の各階平面図と建物図面の書き方について、
最速かつ正確に書き上げる手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この通りに進めれば、あなたは法務局の窓口で、
「これ、ご自分で書かれたんですか? 完璧ですね」
と言わせるレベルの図面を完成させることができます。

建物表題登記を土地家屋調査士に依頼して約10万円を支払うか、
自分で書いてその約10万円を新居の家具代などに回すか、
答えは決まっているはずです。さあ、始めましょう。

【この記事の内容を動画で見る】

文字で読むより、動画の方が10倍早く理解できます。
「建物表題登記の図面を自分で書く!書き方の極意」について、
まずは一度、下記動画の中央の再生ボタンを押してご確認ください。

動画内の「建物表題登記の図面を自分で書く!書き方の極意」は、
このすぐ下の記事に、くわしくまとめてあります。
見落としがないか確認しながら、このまま読み進めてください。

準備編:書く前に「建築確認済証」のここだけ見る!

図面を書く前に、手元に「建築確認済証」を用意してください。
設計図面を全部見る必要はありません。
見るべきは、次の2点だけです。

  1. 「第一面」から「第四面」: ここに建物の「所在地番」「構造」「面積」などの正解が書かれています。
  2. 「配置図」と「平面図」: これらを見て、建物の配置と形状、各辺長を確認するのが作業の基本です。

【プロの助言】

図面上の床面積と、登記上の床面積は、計算方法が異なる場合があります。

具体的には、登記上の床面積は、木造建物の場合、
柱の中心線で囲まれた範囲となり、
鉄筋コンクリート造りの建物の場合は、
壁の中心線で囲まれた範囲となります。

また、登記上の床面積で注意すべき点は、
階段部分や吹抜け、出窓、ベランダ、屋外階段、
屋根裏部屋、ロフト、床下収納の有り無しです。

吹抜けや出窓などが、何も無ければ良いのですが、
もし1つでもある場合には、登記上の床面積に入れる場合と、
入れない場合があるため、注意が必要になります。

登記上の床面積に入れるか入れないかの判断は、概ね次の通りです。

  • 階段部分:1階の床面積にも2階の床面積にも入れるが、例外あり。
  • 屋外バルコニーやベランダ:床面積に入れない。
  • 吹抜け:2階の床面積には入れない。
  • 屋根裏部屋やロフト:天井高1.4m以下なら床面積に入れない。

なお、吹抜け横に設置された階段部分の片面全部が手摺の場合、
吹抜け部分と一体化していると判断されるため、
階段部分も2階の床面積に入れないので注意が必要です。

ステップ1:各階平面図の作成(建物の形を正確に写す)

まずは、各階平面図から、シャープペンなど鉛筆で書き始めます。
これは建物を真上から見た形を書くものです。

① 用紙の配置と余白の確保

通常、B4用紙の左側に「各階平面図」を書きます。
そして、用紙の左右2~3cm位は、空けておくのが通例です。

② 縮尺は「1/250」が原則

三角定規やスケールなどを使い、木造の建物の場合は、
1/250の目盛りで、柱の中心線を結んだ線を引きます。

その際に、外壁の厚さは無視します。
なぜなら、 木造家屋の登記上の線は「柱の中心線」だからです。

また、現地の建物周囲の辺長を測量して確認するのが基本ですが、
問題なければ、建築確認の平面図に書かれた柱中心線の数値をそのまま使います。

③ 階層ごとの書き分け

  • 1階:形を書き、その下に面積の計算式を書きます。
  • 2階:1階と同じ要領で書き、1階と2階の形が異なる箇所は、
    1階の形を点線で書きます。

なお、先程もお伝えしましたが、バルコニーや吹抜け、
階段部分など、床面積に入れる・入れないの扱いには注意が必要です。

なぜなら、床面積に入れない部分は、各階平面図には記載してはいけないからです。

ステップ2:面積の計算式の書き方(算数でOK!)

ここが最も重要です。
法務局は「なぜこの面積になったのか」の根拠を求めるからです。

計算の基本ルール

面積は、建物の形を「長方形」や「直角三角形」に分解して計算します。

例:L字型の建物の場合

  1. 大きな長方形(A)と小さな長方形(B)に分けます。
  2. それぞれの「縦 × 横」を算出します。
  3. 最後に合算します。

(縦A×横A) + (縦B×横B)=床面積

【重要】端数処理の鉄則

  • 各辺の長さは、メートル単位で小数点以下2桁(例:5.46m)まで書きます。
  • 合計面積は、平方メートル単位で小数点以下2桁まで(例:98.76㎡)とし、3桁目は切り捨てます。

ステップ3:建物図面の作成(敷地内のどこにあるか)

各階平面図が書けたら、通常、用紙の右側に「建物図面」を書きます。

① 縮尺は「1/500」が原則

平面図(1/250)の半分のサイズになります。
スケールの目盛りを間違えないように、
細心の注意を払ってください。

② 敷地(土地)の形と、各土地の地番を書く

法務局で取得した公図と地積測量図を参考にして、
現地で敷地の形状も確認した上で、土地の形状を書き、
隣地の地番も含めて、各土地の地番を書きます。

なお、建物図面を書く上の注意点としては、
図面の上が、北の方角になるように、図面を作成し、
方位記号も書くことです。

③ 建物の配置を特定する(「離れ」の記入)

建物の位置を特定するために、
隣地境界線から「建物の角」までの距離を、
3箇所書き込みます。

  • 隣地との境界から何メートル離れているか。
  • 道路との境界から何メートル離れているか。

これを書くことで、法務局の調査官は現地へ行った際に、
「確かにここに建物がある」と確認できるのです。

プロが教える「絶対失敗しない」インク入れの秘訣

鉛筆で下書きが終わったら、いよいよペン入れです。
ここでのミスは「用紙の買い直し」や、法務局からの補正を意味します。

そのため、次の1~3が、インク入れの秘訣です。

  1. 使用するペン: 0.2mm以下の黒インクペン(耐水性)を
    使用してください。
  2. 定規の使い分け: ペン入れの際は、定規を裏返して使うか、
    インクが滲まない「溝付き定規」を使ってください。
  3. 文字の丁寧さ: 数値の「0」と「6」、「1」と「7」の
    見間違いが最も多い補正原因です。
    楷書でハッキリと書いてください。

法務局がチェックする「不合格図面」の共通点5選

せっかく書いた図面が、ゴミ箱行きにならないよう、
次の1~5の項目をチェックしてみてください。

  1. 縮尺: 500分の1と250分の1が逆になっていないか?
  2. 方位: 図面の右上に必ず「北」を示す方位記号が必要です。
  3. 地番: 自分の土地の番号だけでなく、隣地の地番も記入しているか?
  4. 求積(計算式): 電卓で3回は叩き直してください。
  5. 線の太さ: 0.2mmを超えて太すぎると、曖昧だとして突き返されます。

Q&A:自力の図面作成でよくある質問

Q1. パソコン又はCADで書いたほうがいいですか?

A1. 自信があるならCADでも構いませんが、一般の方なら「手書き」の方が圧倒的に補正(修正)が楽です。
法務局の窓口で「ここ、ちょっと直して」と言われた際、手書きならその場で定規を使って直せるからです。

Q2. バルコニーは面積に含まれますか?

A2. 原則として、壁に囲まれていないバルコニーは面積に含まれません。
しかし、3方を壁に囲まれている場合などは判断が分かれます。
迷ったら、事前に法務局の「登記相談」で設計図や、
バルコニーの写真を見せて確認するのが正解です。

Q3. 吹き抜けがある場合は?

A3. 2階の面積から、吹き抜け部分をマイナスする計算式を書きます。
これを忘れると面積過大で却下されます。

結論:約10万円の価値は、あなたの「丁寧さ」にある

ここまで読んで下さったあなたなら、
もう図面作成の全貌が見えているはずです。

最初は難しく感じるかもしれません。

しかし、一線を引くたびに、
あなたは土地家屋調査士に支払うはずだった約10万円を、
自分のポケットで守っているのです。

建物図面と各階平面図が完成した時の達成感は、
新築の喜びをさらに大きなものにしてくれます。

今回の図面作成で分からないことがあれば、
ぜひコメント欄で教えてください。
あなたの自力登記を、私は応援しています。