
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:建物表題登記など表示に関する登記全般。
経歴:開業以来23年間、建物表題登記など登記に関する業務を行ってます。
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建物表題登記を法務局に申請する際には、
登記申請書を必ず提出する必要があります。
ただ、法務局に提出する建物表題登記の申請書には、
様式(書式)があり、書き方も細かく決められています。
そのため、もし、建物表題登記の申請書の様式や書き方を、
1カ所でも間違えてしまうと、
あとで補正作業が必要となり、困ることもあるのです。
そこでこの記事では、建物表題登記の申請書について、
建物表題登記の申請業務を行っている土地家屋調査士が、
具体的にわかりやすく解説いたします。
この記事をすべて閲覧することで、
建物表題登記の申請書の様式や書き方で困ることはなくなるでしょう。
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記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。
建物表題登記の申請書の様式(書式)と記載例
建物表題登記の申請書の最新様式は、下図1の様式(書式)になります。
建物表題登記の申請書の様式は、
平成16年11月1日から、上図1のように、
A4サイズ縦の横書きの様式に変わっています。
そのため、下図2のようなB4サイズ横で縦書きといった、
以前までの古い様式を使わないように注意が必要です。
なお、建物表題登記の申請書の様式自体は、
申請人が申請する場合も、代理人が申請する場合も同じですが、
記載する内容に多少の違いがあります。
そこで、申請人が申請する場合の建物表題登記申請書の記載例と、
代理人が申請する場合の建物表題登記申請書の記載例を、
それぞれ見て行きましょう。
申請人が申請する場合の登記申請書の記載例
下図3は、申請人が本人申請する場合の登記申請書の記載例です。
上記3の登記申請書の例では、附属建物の記載がありますが、
もし、附属建物が無い場合は、附属建物の記載は不要になります。
代理人が申請する場合の登記申請書の記載例
下図4は、代理人が申請する場合の登記申請書の記載例です。
代理人が建物表題登記を申請する場合、上図4のように、
代理人の住所氏名の記載と捺印が必要となり、
下の欄外に、土地家屋調査士の氏名の記載と、
土地家屋調査士の職印の押印も必要になります。
なお、建物表題登記には、登録免許税がかからないので、
申請人が申請する場合も、代理人が申請する場合も、
登録免許税の記載は不要です。
建物表題登記の申請書の用紙や文字は?
建物表題登記の申請書の用紙は、
日本工業規格A列4番(A4サイズ)の用紙を、
標準の用紙とすることになっています。
また、登記申請書は、A4の用紙を縦に置いて、
文字はすべて横書きで作成し、
用紙の裏面は使用しないことになっています。
なお、登記申請書の用紙の紙質は、
コピー用紙などの普通紙でもかまいませんが、
できるだけ長期保存できる丈夫な上質紙が良いです。
登記申請書に記載する文字は、
1,2,3といったアラビア数字を使用して良いですし、
パソコンやプリンター等を利用して印刷するか、
インクやボールペンなどで、すべて手書きでもかまいません。
ただし、鉛筆や消えるボールペンは、
使用してはいけないことに注意が必要です。
建物表題登記の申請書の書き方
建物表題登記の申請書に記載すべき内容としては、
次の8つを記載する必要があります。
- タイトル
- 登記の目的
- 添付情報
- 申請年月日と法務局名
- 申請人
- 代理人(代理人が申請する場合のみ)
- 連絡先の電話番号
- 建物の表示
それでは、1つ1つ具体的に、わかりやすくご説明いたします。
1.タイトルの書き方
建物表題登記の申請書のタイトルは、下図5のように、
用紙の上端から約5cmの範囲を空けてから、
中央部分に大きめの文字で、「登記申請書」と記載します。
用紙の上端から約5cmの範囲には、
法務局が登記申請を受領した旨を記載する箇所になるため、
通常、空白にしておく必要があるのです。
2.登記の目的の書き方
登記の目的は、下図6のように、「建物表題登記」と記載します。
建物表題登記とは何かや、自分でできるかどうかと、
費用や必要書類については、
「建物表題登記とは?自分でできる?費用や必要書類」で、
くわしく解説しています。
3.添付情報の書き方
添付情報の箇所には、次の情報の内、
実際に添付する情報を記載します。
- 各階平面図
- 建物図面
- 所有権証明情報
- 住所証明情報
- 資格証明情報(申請人が法人の場合)
- 相続証明情報(相続人が申請する場合)
- 代理権限証明情報(代理人が申請する場合)
下図7は、土地家屋調査士が代理人として、
建物表題登記を申請する場合の添付情報の具体例です。
上図7のように、所有権証明情報や住所証明情報、
相続証明情報の書類の内、原本を戻して欲しい書類があれば、
そのことがわかるように、原本還付の旨も記載しておきます。
なお、建物表題登記の申請では、通常、
現地の場所を地図上で示す位置図や、
現地の建物の状況がわかる写真も添付しますが、
添付情報欄に記載する必要はありません。
4.申請年月日と法務局名の書き方
申請年月日と法務局名の所には、下図8のように、
建物表題登記申請書類を法務局に提出する年月日と、
提出する法務局の正式名称を記載します。
もし、郵送で申請する場合は、発送年月日を記載すると良いです。
なお、建物表題登記の申請書類は、
どこの法務局に提出しても良いわけではなく、
建物の敷地を管轄している法務局に提出する必要があります。
法務局の管轄区域や法務局の正式名称については、
法務局のホームページ上の「管轄一覧から探す」のページ、
または、「地図から探す」のページから確認すると良いです。
ちなみに、法務局の正式名称は、次のいずれかの形の名称になります。
- □法務局
- □法務局□支局
- □法務局□出張所
- □地方法務局
- □地方法務局□支局
- □地方法務局□出張所
5.申請人の書き方
登記申請書の申請人の箇所には、下図9のように、
申請する建物の所有者の住所、氏名又は名称を記載して、
申請人が本人申請する場合は、押印も必要になります。
なお、申請人が個人の場合は、上図9のように、
申請人の住所、氏名を記載しますが、
申請人が法人の場合は、下図10のように、
法人の名称、法人の代表取締役の氏名を記載します。
ちなみに、申請人の押印については、申請人が個人の場合も、
申請人が法人の場合も、シャチハタ以外であれば、
認印でも、実印でも、どちらでもかまいません。
6.代理人の書き方
代理人が建物表題登記を申請する場合、
下図11のように、代理人の住所・氏名を記載して、
代理人の押印が必要になります。
代理人の押印については、シャチハタ以外であれば、
認印でも、実印でも、どちらでもかまいません。
なお、代理人が建物表題登記を申請する場合は、
登記申請書への申請人の押印は不要です。
なぜなら、代理人が申請する場合に添付する委任状の方に、
申請人の押印が必要になるからです。
7.連絡先の電話番号の書き方
連絡先の電話番号の箇所には、申請人が本人申請する場合、
下図12のように、申請人の電話番号を記載します。
逆に、代理人が代理申請する場合は、通常、
下図13のように、代理人の電話番号を記載します。
連絡先の電話番号は、固定電話の番号でも、
携帯電話の番号でも、どちらでもかまいませんが、
昼間に連絡が取れる電話番号でなければなりません。
なぜなら、建物表題登記の申請書類に、
不備や不足書類があった場合、
法務局の担当者から昼間に電話連絡が来るため、
いつでも対応できる電話番号の記載が必要だからです。
8.建物の表示欄の書き方
建物の表示欄には、下図14のように、通常、建物の所在と、
家屋番号、主である建物又は附属建物の別、
建物の種類、建物の構造、建物の床面積、
登記原因及びその日付を記載します。
まず、建物の所在の書き方ですが、
建物が建っている市区町村、
字名および土地の地番を記載します。
もし、二筆以上の土地にまたがって建物が建っている場合は、
床面積が多い部分の土地の地番、又は、
主である建物が建っている土地の地番を先に記載して、
他の土地の地番は、後に記載するのです。
次に、家屋番号については、法務局が付けるものなので、
建物表題登記の申請では、家屋番号の記載は必要ありませんが、
予定家屋番号という意味で、通常、家屋番号を記載しておきます。
家屋番号は、通常、土地の所在の地番と同じですが、
たとえば、所在が「〇市〇町字〇10番地1」の場合、
家屋番号は、何番地の地という文字を除いて、
「10番1」という記載になります。
次に、主である建物又は附属建物の欄の記載については、
附属建物が無くて、主である建物のみの場合、
下図15のように、主である建物又は附属建物の欄は、空欄でかまいません。

逆に、附属建物がある場合は、「符号1」のように、
附属建物の符号を、附属建物の数だけ記載する必要があります。
次に、建物の種類の書き方については、
下記の不動産登記規則第113条、および、
不動産登記事務取扱手続準則第80条を参考にして、
建物の主な用途から、建物の種類を判断して記載します。
不動産登記規則第百十三条
第百十三条 建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。
2 建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとする。
引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記規則 」. (参照 2025-3-7)
もし、建物の主な用途が2つ以上ある場合には、
例えば「居宅・店舗」のように、
建物の種類を記載すると良いということです。
なお、具体的な建物の種類については、
「建物の種類について」で、くわしく解説しています。
次に、建物の構造の書き方ですが、
建物の主な部分の構成材料による区分と、
屋根の種類による区分、階数による区分をそれぞれ記載します。
それぞれの区分の内容は、不動産登記規則第114条で、
次のように規定されています。
(1) 構成材料による区分 | 木造 土蔵造 石造 れんが造 コンクリートブロック造 鉄骨造 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
(2) 屋根の種類による区分 | かわらぶき スレートぶき 亜鉛メッキ鋼板ぶき 草ぶき 陸屋根 |
(3) 階数による区分 | 平家建 二階建 三階建以上は、これに準じます。 |
ただし、不動産登記規則第114条で規定の区分の内容以外にも、
不動産登記事務取扱手続準則第80条で、
次のように規定されています。
(1) 構成材料による区分 | 木骨石造 木骨れんが造 軽量鉄骨造 |
(2) 屋根の種類による区分 | セメントかわらぶき アルミニューム板ぶき 板ぶき 杉皮ぶき 石板ぶき 銅板ぶき ルーフィングぶき ビニール板ぶき 合金メッキ鋼板ぶき |
(3) 階数による区分 | 地下何階建 地下何階付き平家建(又は何階建) ガード下平家建(又は何階建) |
つまり、これらの規則や準則で定められた区分によって、
その建物の構造として最適なものをそれぞれ判断して、
建物の構造欄に記載するということです。
例えば、「木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建」や、
「軽量鉄骨造合金メッキ鋼板ぶき2階建」や、
「鉄筋コンクリート造陸屋根3階建」のような感じです。
ただし、これらの区分に該当しない建物については、
これらに準じて定めるものとされています。
次に、建物の床面積の書き方ですが、
各階ごとに壁またはその他の区画の中心線で囲まれた部分の
水平投影面積により、平方メートルを単位として、
1平方メートルの100分の1未満の端数は切り捨てて記載します。
例えば、2階建ての場合は、1階180.50㎡、
2階80.00㎡のように記載して、
平家建の場合には、単に180.50㎡のように記載します。
最後に、登記原因及びその日付の書き方ですが、
建物が新築された日を日付として、
「令和何年何月何日新築」と記載します。
もし、附属建物がある場合には、
附属建物の登記原因及びその日付欄に、
その附属建物が新築された日を日付として、
「令和何年何月何日新築」と記載するのです。
ただし、附属建物の新築年月日が、
主である建物の新築年月日と同じ日の場合は、
附属建物の登記原因及びその日付欄は、
記載する必要はないので、空欄でもかまいません。
以上、建物表題登記の申請書についてと、
登記申請書の書き方について解説致しました。
建物表題登記の申請書の最新様式のダウンロード
建物表題登記の申請書の最新様式につきましては、
下記リストからダウンロードしていただき、
ご自由にお使いいただければと思います。
申請人が本人申請する場合
- 建物表題登記申請書の様式(エクセル:附属建物3棟まで対応)
- 建物表題登記申請書の様式(PDF:附属建物3棟まで対応)
土地家屋調査士が代理人として申請する場合
- 建物表題登記申請書の様式(エクセル:附属建物3棟まで対応)
- 建物表題登記申請書の様式(PDF:附属建物3棟まで対応)
なお、そもそも建物表題登記とは何なのかや、
自分でできるのかどうか、費用や必要書類については、
「建物表題登記とは?自分でできる?費用や必要書類」
をご参照下さい。
また、建物表題登記を申請するには、
登記申請書だけでなく、各階平面図や、
建物図面、所有権証明情報なども必要になります。
そこで、建物表題登記に必要な書類については、
「建物表題登記の必要書類には何がある?」で、
くわしく解説しています。